……―――なのに。


あたしがその原因になっちゃダメだよね。



先生のメールから返信画面を開く。

あたしの指先で、プッシュ音が数十回明るい音を立てた。


そして、出来あがったメールを確認する。


「……嫌われるかな」


文章を見つめながら、隣の部屋には聞こえない程度の独り言を漏らした。



『嫌われても……あたしは大好きだよ。

ずっと……好き』



続けようとした独り言は、もう言葉にしてはいけないように感じて、唇を噛む。


決心したのに。

それなのに、溢れ出てくる「好き」の気持ち。



それは、胸からも流れ出て、涙となって形になろうとする。

形になって、先生に伝えようとする。


襲ってくる息苦しさに、あたしは奥歯をぎゅっと噛み締めてメールの画面を見つめる。

そして……。


ますます息苦しくなる身体に気付きながら、ためらう指先で送信ボタンを押した。




to.先生
sub.
――――――――――――


先生、別れよ。

自分勝手でごめんなさい。


――――――――――――



送信ボタンを押した次の瞬間、先生の部屋からメール着信の音が響いて……。


次の瞬間、クローゼットが勢いよく開けられた。