「え……バラすって、実姫達の事……?」


残り少なくなった昼休み。

教室に辿り着いたあたしが切り出した話に、諒子が真剣な表情を浮かべた。

せっかく買ったパンだけど、食べる気になんかなれなくて。

パンの入った茶色い紙袋に視線を落とす。


「うん……でも、あたしの片思いだと思ってる感じだったけど……」

「片思いだと思われてるならバラされたって……いや、でもよくはないか。

っていうかさぁ、なんなの?! 吉岡っ!

和馬くんに振られた腹いせに実姫に突っかかってきたりして……っ」


徐々に怒りが込み上げてきた様子の諒子に、小さく首を振る。

そしてため息を落としてから、落とした視線をそのままに口を開いた。


「吉岡さんは悪くないよ……。

吉岡さんの言う通りだもん。あの子、本当に和馬が好きなんだよ」


振られても、それでもまだ好きで……

和馬が傷付くのを必死に止めようとしてる。


和馬が好きだから。

だから、和馬を利用してるあたしが許せない。


……その気持ちは、よく分かる。



あたしだって、先生が誰かにそんな事されてたら……、やっぱり止めたくなる。

『先生を傷つけないで』って、言いたくなる。



あたしだって―――……