バレたら困る事があるだけに、溢れそうな不安があたしを包んでいた。


今まで、どこか漠然的だった不安が……

一気に、現実味を帯びる。


本当に、先生との関係がバレちゃうような気がして……息苦しいような苦しさがあたしを襲っていた。


「矢野先生、いくら事実じゃないとしても少し気をつけた方がいいですよ。

あの人、校長にも言ってましたよ。

『これ以上問題起こすようなら少し考えた方がいい』って。

まぁ、校長も話半分にしか聞いていませんでしたけどね」



……―――考える?

何、を……?



「校長も大変ですよね。教頭が口うるさいから。

こないだ、校長のネクタイの色を注意してましたけど……人のセンスどうこう言う前に、自分を見直した方がいいですよね」

「本当ですよね。昨日の服はちょっと……ついでに言うと化粧もちょっと……」


先生と島田が、適当な会話を交わしている間、あたしの頭には島田の言った言葉が繰り返し流れていた。


考えるって……

先生の、処分―――……?


隣で低い音を響かせる冷蔵庫に、あたしは強張った身体を預ける。

緊張のせいか、小さく身体が震えていた。




「先生っ……処分って……んっ?!」


島田が寮を出たのを合図に飛び出した。

だけど、先生はそんなあたしをすぐに抱き寄せると、そのままの勢いでキスで唇を塞いだ。


「んんー……っ!」


突然のキスに驚きながらも、先生の胸をどんどん叩く。

激しい抵抗に、先生は少し歪めた顔をあたしに向けた。