「……先、生」

「嘘じゃねぇよ」


押しつけられた胸から響いてくる先生の声が、少しくすぐったい。

だけど、心地よくもあるその場所に、気持ちのいいドキドキを感じながらあたしは笑みを零した。


先生のすぐ後ろにある冷蔵庫の音と、古いテレビの音だけが静かな食堂に響く。

ゆっくりと流れる穏やかな時間を、古い、アンティークにも見える時計が刻んでいた。


「じゃあなんで機嫌悪いの?」


先生に抱き締められたまま見上げると、先生はそんなあたしを見下ろしながら口の端を上げて笑みを作る。

少し、意地悪な笑みを。


「さぁな。……欲求不満とか?」


あたしの頬が赤くなるよりも前に、先生の手があたしの顎を上げる。

そして……戸惑う暇もなく、先生のキスがすぐにあたしの唇を塞いだ。


まだ慣れない先生とのキスに、自然と身体が竦む。

それに気付いてか、先生はあたしを抱き締めたまま、キスを深めた。


「……、…んん…っ」


苦しさにも似た、胸が締め付けられる感じに、自然と声が漏れて……

恥ずかしくて、もう止めようとするのに、先生はそれを許してくれない様子で。


「……んな顔したって許してやんねぇし。

責任取れよ。2つとも原因はおまえなんだから……」

「んっ……、」