「……それより」


思考の先に行きつこうとしたあたしを、先生の声が止めた。

その声にはっとして顔を上げると、食事を軽く済ませた先生があたしをじっと見つめていた。


「……なに?」

「昼休み、清水と何してた?

他の奴らがラブラブだの、どうのこうの言ってただろ」


真面目な顔をして聞いてきた先生に、あたしは込み上げてきた笑みをそのまま零した。


「何してたって……別に何もしてないよ?

普通に話してただけ」

「あっそ」


笑いながら言うと、先生は少し不機嫌そうにそれだけ言って席を立った。

怒ったようにも見える先生にまた一つ笑みが零れて……冷蔵庫を開ける先生の背中に近づいて、そのまま腰の辺りに抱きついた。


「……なに?」


抱きつかれたまま、動かずに言う先生の背中に、あたしは顔を埋める。

流れ込んでくる先生の匂いが、あたしの表情を自然と緩めていった。


男にしては少し薄めの身体。

それでもあたしよりずっとしっかりしてる先生の身体が、すごく愛しくて……回した腕に力を込めた。


「……先生、和馬にやきもち」

「……別に妬いてねぇし」

「嘘。先生が不機嫌になるのって、やきもち妬いた時だけだからすぐ分か……」


急に向きを変えた先生に抱き締められて、続く言葉を遮られた。

先生の胸に押し付けられるようにして抱き締められて……胸が賑やかに騒ぎ出す。