「あー……でも教師じゃなかったら市川に逢えなかったか。

そう考えると教師選んどいてよかったな。

つぅか、きっと出逢うように出来てたんだろうけどな」

「……」

「そんな不安そうな顔すんなよ。

教職以外なんて、ふざけて言っただけだろ?」

「……うん」

「心配しなくても、例え教職から離れたって市川と俺の関係は変わんねぇよ。

……おまえ、しっかりしてるように見えてそうじゃねぇしな。

道踏み外さないように俺が縛り付けて見張ってねぇと。

危なっかしくて気が気じゃねぇし」


先生がくれる言葉が、胸をぎゅっと鳴らす。

さっきまであった不安すらも握り締めてしまうような胸を掴む言葉に、熱くなる瞼を感じながら減らず口を探す。


「……あたし、犬じゃないし」

「生まれ変わったらきっと犬と飼い主だな。そしたら俺、すっげぇ可愛がると思うけど」


生まれ変わったら。

なんて、やけに乙女チックな事を言い出した先生に笑いながらも、瞼は熱いままだった。


もしもそんな先まで一緒にいられるなら……

来世なんてものを信じるなら。


あたしも、先生とまた出逢いたい。


先生が見つけてくれるように、しっかり顔を上げて歩いてるから。


……見つけてくれなかったら噛み付いてやる。

っていうか、犬じゃないし。