「……」
「田宮は……実姫は、ずっと自分についてくると思ってたんだって言ってた。
どんな事言っても、どんな事しても、実姫は自分から離れたりしないって勝手に思い込んでたって言ってて……だから甘えすぎたって。
自分がどんな荒れても、実姫だけは自分から離れていくハズないって。
バスケできなくなっても、どんなに落ちぶれても、実姫は自分を受け入れてくれるって。
それに、安心してたって。
でも……実姫に振られて、涙いっぱい溜めて睨みあげてくる実姫見て……もう取り返しがつかない事に気付いたらしい」
「……それ、本当に啓太が言ったの?」
「ああ。こんな話つくんねぇよ。
実姫と普通に話そうとしても、実姫は自分を見るといつも怯えてて……ちょっと触っただけで身体竦ませて目瞑るって、笑ってた。
でもそんな実姫にイライラして殴ったりして……。
そんな奴についてくる訳ねぇなーって……そう言ってた」
和馬の言う事を、あたしは半信半疑で聞いていた。
あの啓太が、そんな事を言うのかっていうのはすごく疑問で……。
だけど、和馬は嘘なんかつかない事を知ってたから、余計に戸惑う。