バレたら……
その不安を先生が考えている事くらい、あたしにだって分かる。
先生のその不安は、自分の立場に対してのものだけじゃなくて、あたしに対しても考えてくれてる事くらい……よく分かる。
じっと、先生を見つめながら言ったあたしに、先生はふっと表情を緩ませて。
あたしを自分の胸に抱き寄せた。
「学校では確かにそうした方がいいんだけど……ここでまで生徒面すんなよ。
……手が出しにくいだろ」
押しつけられた先生の胸から心臓の音が聞こえてきて……発せられた先生の言葉とそれが、あたしの心拍数をぐんと引き上げる。
「……出さなきゃいいじゃん」
緊張から出てしまった返事はそんな可愛げのない言葉で……。
素直になれない自分が嫌になる。
こんな時でさえ、上手く甘えられない。
先生の胸の音にドキドキするのが精一杯。
呆れるほどに恋愛経験の乏しい自分に口を尖らせていた時、先生があたしの身体を離した。
そして、背中に回した手をそのままに、軽く抱きよせてギリギリまで顔を近づける。
「先、生……?」
「市川はいいんだ? ……このまま手出さなくても」
「……っ」
少し動けばすぐにキス出来てしまうような至近距離に、恥ずかしくなって慌てて俯こうとした。
だけど、すぐに先生に顎を上げられて……視線を逸らす事しか許されない。
「市川? こっち見ろよ」
「……やだ」
「なんで?」
クスっと笑う先生の吐息が頬にあたって、緊張を高める。



