これから先生が何を言おうとしてるのか……
考えれば考えるほど、悪い方にしか考えられなかった。
先生が感じてる不安は、あたしだって分かってる。
先生と同じくらいに、きっと―――……
そんな不安から手をきつく握りしめていると……不意に先生がその手を包み込むように握った。
握られた手に、あたしは不安から落としていた視線を上げる。
「だけど……、昨日も言ったけど、俺は市川の気持ちとちゃんと向き合いたい」
「……」
「……つぅかな、やっぱりこうして隣にいるのに気持ちを腹ん中溜めとくとかって性に合わないんだよな。
俺は市川が好きだから……守ってやりたいって思うし。教師として、だけじゃなくて男としても」
「……」
「市川。……俺が言いたい事、分かるか?」
問い掛けてくる先生の表情は真剣そのもので。
こんな言葉を茶化さないで言ってくれる先生を、また一つ、好きになる。
でも……
同時に大人だって事を思い知らされたみたいで、少しだけ悔しかった。
『分かるか?』なんて……
そんなの……
「……あたし、学校でもここでも普通にするから大丈夫だよ。
……先生を困らせたりしない」
悔し紛れに、わざと少しだけ冷たく言った。
でも、言葉に嘘はなかった。
先生の立場も、自分の立場もよく分かってるつもりだったから。



