【実姫SIDE】
飛び交う会話を聞きとっては落ち込んでいっちゃって。
ついには浮かんできた涙に、それを隠すように立ち上がった。
「……汗かいちゃったし着替えてくる」
「いいね、家が敷地内にあって。じゃあ何か聞かれても上手く誤魔化しとくから、飲み物買ってきて」
「お茶系でいい?」
諒子が頷くのを見てから、先生のいるコートに背中を向けた。
そして、さっき先生の話をしていた女子生徒にちらっと視線を移して通り過ぎる。
……バカみたい。
なにライバル心とか感じちゃってるんだろ。
先生は、誰にも振り向かないのに……。
なのに、バカみたい。
……こんなに好きなんて。
『なんかあったら言えよ』
例え、教師としてでも嬉しかった。
あんな些細な言葉に反応して、思わず泣きそうになった。
あたしは……、きっと隠しきれてない。
この気持ちを……隠しきれない。
大きく膨らんだ気持は、先生だけじゃなくて……他の誰かにも気付かれちゃうかもしれない。
先生への気持ちを……
隠し通せる自信なんか、これっぽっちもないもん。
いつか、先生に迷惑を掛ける。



