声には出せない気持ちが、身体ん中に重く沈んでいく。

重く、のしかかるように沈む言葉が……喉の奥に声まで留まらせて、何も言葉が出なかった。

市川の気持ちが、今はっきりと分かったからこそ……余計に言葉が出ない。



何も言えずにいる俺に、市川は立ち上がって……扉を閉めた。

バタン……と静かな音を立てて閉められたクローゼットに、視界が急に真っ暗になった。


その暗さが、自分の取った行動が間違いだって事を教えているような気にさせる。

この先の……、俺の気持ちの行く末を、暗示しているようで……。

俺はやっと歪められた表情を片手で覆う。



俺だって……


「俺だって……好きじゃなきゃ、あんな事しねぇよ」


市川に聞こえないような小さな声で呟くと、余計に胸の痛みが俺の身体を包み込んだ。


ごめん……

泣かせて、ごめんな。


ごめん―――……




でも。

これでいい。



これで、いい―――……。



何度も考えて、考え直して……

自分が間違っていない事を確認して言い聞かせた。





眠れない夜。

薄い壁の向こうから、市川の泣き声が小さく聞こえてきて……俺の胸を焼くように痛めつける。