「言うんじゃなった……」
食堂で夕食を食べながら、独り言を漏らす。
……矢野はまだ帰ってきていない。
絶対言わなきゃよかった……。
こういうのって友達に冷やかされて、どんどん気持ちが大きくなっていっちゃうもんだもん。
好きじゃなくても、周りから色々からかわれてるうちにすっかりその気になっちゃって……。
……そうだよ。
あたしは別に……矢野を好きだとかそんなんじゃないんだから。
諒子が1人で勘違いしてるだけなんだから。
――バタン
寮の入り口が開いて、自分の気持ちの中に思考を飛ばしていたあたしは、身体を竦ませた。
「あー……疲れた」
入ってきた矢野が、そのままあたしの斜め前に座って……そんな矢野をこっそりと見つめた。
注意されてるのに戻さない茶色い髪。
柔らかそうで、毛先がいつも少しだけ跳ねてる。
高い身長。
廊下を歩いてても、いつも頭が少し飛び出してる。
意外と力強い腕に身体――――……



