冬がドアを閉めたのを確認してから、俺はアキの背中に腕を回した。 「なぁアキ、なんで泣いてんの?」 アキは俺の制服を掴む手に力を入れるだけで、なにも言わない。 「……どうした?アキ……」 「……あ、あの……」 少し話し出した声は鼻声で、まだ泣いていることがわかる。 「あのね……ナツの気持ち考えたら……」 「俺の気持ち?」 「……辛くなって……」 俺が放心状態だったから? そんな俺の気持ちを、考えてくれたの? 「あと……」 まだ、あるわけ?