歩が行くままに歩いていると、一つの建物の中に入っていた。

 その建物は店になっていて、右はコンビニ、左は書店。

 そして階段を上ると、なにやらいい匂いがした。

「よし、混み合う前に腹ごしらえするぞ」

 到着したのは学食だった。

「あたしたち学生じゃないのに、いいの?」

「だからいいんだって。見てみ? 近所の主婦とかいるだろ」

 指を差したほうを見ると、確かにおばさん二人が楽しそうに喋りながら何かを食べている。

 本当にいいんだ……。

 時計を見ると、11時50分。

「12時になると講義が終わって混むから、さっさと飯買いに行こうぜ」

「うん」

 歩のおごりで昼食を取っていると、12時を過ぎたころには食堂が学生でごった返した。

 席を狙う学生の痛い視線を浴びながら、ランチは終了。

 食べ終わると同時にそそくさと退場。