「ねえ、どこ行くの?」
「俺の進路」
「え? K大ってこと?」
「そういうこと」
駅から十分ほど歩くと、きっと一生入ることはないと思っていたK大の門にたどり着いた。
門は高校のものより広めで、警備員のいる小屋がある。
門前の広場からはまた道になっており、木々の上に建物が何棟か見える。
歩は私の手を引いたまま、門をズカズカと通過した。
「入っていいの?」
「いいんだよ」
ドキドキしながら歩いていくと、学生らしき人がチラホラいる。
木陰に溜まってバカみたいな笑い声が聞こえた。
目を向けると服装も髪型も人それぞれで、パンクな人もいるし、ギャルっぽい女もいる。
K大といえばカタいイメージだったのに、みんな全然賢そうに見えない。
意外だった。
大学がこんなにゆったりした空間だなんて。
なんだかすごく、楽しそう。



