そして、得意の余計な一言。
「意外だったな、恵里が将来のこと考えてたなんて」
「どういう意味よ」
不機嫌な顔を向けると歩は意地悪に笑って、
「惚れ直したって意味」
と頭を撫でてくれた。
「は……はぁ? それくらいで、意味わかんないし」
そんなことをされては出てきたトゲもぬけてしまう。
「また“意味わかんない”かよ。バカ丸出しだからやめろって言ったろ?」
……トゲ再生。
「バカバカ言わないでよ! 本当にわかんないから聞いてんの」
「わかんねーからバカなんだっつの。バカ丸」
「何よそれ」
「バカ丸出しの略」
何よ、さっきまでの雰囲気台無しじゃない。
自分の夢を語ったことがますます恥ずかしくなってくる。
顔をしかめて俯くと、歩が私の手を取った。
「じゃ、目的地へ行きますか」
そう言って手を引き、歩き出す……。



