案ずるより生むが易し。
今までのことを反省して、素直に歩に聞いてみる。
「歩、どこの大学受けるの?」
歩のベッドを陣取って漫画雑誌を読みながら、何気なーく聞いてみる。
内心ビクビク。
机でガリガリ計算問題を解いている彼は、あっさり答えた。
「K大だけど」
「K大? うそ、マジ?」
K大とは、この辺では一番「頭のいい」国立大学だ。
さすがは歩……やっぱ勉強できるんだな。
一応県内だが、隣の市に位置しており、うちから通うのに片道2時間くらいかかる。
隣の市は大学の名前と同じK市で、県庁所在地。
都会まではいかずともそれなりに栄えており、人々も集う。
でも、K大ならラッキーかもしれない。
「恵里は? 卒業してからの進路、どうするの?」
私は何となく、答えるのが恥ずかしくなった。
フリーター志望が恥ずかしいのではない。
それなりにやりたいことがあるのだ。



