窓に影2




 案ずるより生むが易し。

 今までのことを反省して、素直に歩に聞いてみる。

「歩、どこの大学受けるの?」

 歩のベッドを陣取って漫画雑誌を読みながら、何気なーく聞いてみる。

 内心ビクビク。

 机でガリガリ計算問題を解いている彼は、あっさり答えた。

「K大だけど」

「K大? うそ、マジ?」

 K大とは、この辺では一番「頭のいい」国立大学だ。

 さすがは歩……やっぱ勉強できるんだな。

 一応県内だが、隣の市に位置しており、うちから通うのに片道2時間くらいかかる。

 隣の市は大学の名前と同じK市で、県庁所在地。

 都会まではいかずともそれなりに栄えており、人々も集う。

 でも、K大ならラッキーかもしれない。

「恵里は? 卒業してからの進路、どうするの?」

 私は何となく、答えるのが恥ずかしくなった。

 フリーター志望が恥ずかしいのではない。

 それなりにやりたいことがあるのだ。