すると、母は声高く笑い始めた。

 私と歩、そして、父の三人は唖然。

「改まって話があるなんて言われるから、何かと思っちゃったわよー」

 何なの、この軽いノリは。

 さっきまでの緊張感はどこにいったんだろう。

「その辺の変な男の子だったら嫌だけど、歩君ならお隣だし、安心よね。あなた?」

 父は一瞬戸惑って、

「ああ、そうだね。歩君なら安心だ」

 と弱々しく答えた。

 橋を架けるって、そういうことだったんだ……。

「ありがとうございます」

 そう言って頭を下げた歩。

 私は感動のあまり、何も言うことができなかった。

「こうしちゃいられないわ。カナちゃんによろしくって言っとかないと」

 カナちゃんとは、歩のお母さんのこと。

 母は携帯で歩ママに電話をかけている。

「あ、カナちゃん? あたしー。今、歩君がね……」

 父は再びビールを飲み始めた。