しかし、私にだって言い分があるのだ。
「だって、勉強の邪魔しちゃいけないとか思うじゃない。あいつのことだから、きっとすごい頭の良い大学とか受けるんだろうしさ。あたしのせいで落ちたりしたらイヤだもん」
どうだ、これでわかったでしょう。
くらいの表情で聡美を見ると、彼女は未だに呆れた顔をしている。
「それはわかるけど、だったら受験終わるまでずっと変わらないよ」
……確かに。
「西山がどう考えてるかなんてわかんないけど、不満のあるあんたが何かアクション起こさなきゃ。あたしに愚痴っても、それは西山には届かないんだし」
……確かに。
説得力のある言葉に、返す言葉が見つからない。
聡美が言っているのは、つまるところ、
「あんたが素直になりなさい」
ということだ。
ため息をついてテーブルに頭を乗せると、視線の先に鏡があった。
夏ということもあり、少し胸元の開いたワンピースを着ている私。
胸部に刻まれた彼の印は、もうすっかり消えてしまっていた。



