窓に影2


 しかし、私にだって言い分があるのだ。

「だって、勉強の邪魔しちゃいけないとか思うじゃない。あいつのことだから、きっとすごい頭の良い大学とか受けるんだろうしさ。あたしのせいで落ちたりしたらイヤだもん」

 どうだ、これでわかったでしょう。

 くらいの表情で聡美を見ると、彼女は未だに呆れた顔をしている。

「それはわかるけど、だったら受験終わるまでずっと変わらないよ」

 ……確かに。

「西山がどう考えてるかなんてわかんないけど、不満のあるあんたが何かアクション起こさなきゃ。あたしに愚痴っても、それは西山には届かないんだし」

 ……確かに。

 説得力のある言葉に、返す言葉が見つからない。

 聡美が言っているのは、つまるところ、

「あんたが素直になりなさい」

 ということだ。

 ため息をついてテーブルに頭を乗せると、視線の先に鏡があった。

 夏ということもあり、少し胸元の開いたワンピースを着ている私。

 胸部に刻まれた彼の印は、もうすっかり消えてしまっていた。