「なんだ……、そういうこと」

 私もなんだか笑えてきて、幸せな気持ちが溢れた。

「十年片思いした未練をなめんなよ」

 という彼の言葉を最後に聞いて電話を切る。

 寄り道禁止令は、歩なりの束縛なんだろうか。

 胸に残したたくさんの印じゃ足りないらしい。

 クラスメイトにバレないよう、こっそり胸部を確認していると、再びポケットの携帯が震えた。

 歩だ。

〈とにかく、寄り道しても早く帰れよ。7時を過ぎるときは必ず俺に連絡すること!〉

 独占欲の強い彼はやはり束縛したいタイプなんだろう。

〈過保護すぎ〉

 と送ると。

〈心配なんだよ〉

 と返ってきた。

 このメールを、保護。

 愛されてる証のような気がした。