帰り道、私と歩はしっかり手を繋いで、不気味な校舎裏の路地を歩いた。

「ここ、出るらしいぞ」

「やめてよ」

「やっぱ怖いんじゃん」

「誰もそんなこと言ってないでしょ」

 私の彼は相変わらず腹の立つことを言うのが好きなようで、腹を立てる私も言い返すのが好きらしい。

「ねえ、今女の人の声聞こえなかった?」

「聞こえねーし、そんな手に引っかからねーし」

「チッ……」

 歩の笑い声が木々に吸収されていく。



 緑と土の匂いがする涼しい風に吹かれても、繋いだ手は温かかった。