歩は合格しても隣の家に残る。

 しかも、同じK市に通えるというオマケ付き。

 私たちの場合、未来に光がある。

 だけどほのかちゃんたちは遠距離恋愛になってしまうのだ。

 受験を心から応援できるかと聞かれれば、微妙なところだ。

 一方の聡美はというと、

「クリスマス、空いてるんでしょ? 遊びに行くよ」

 と、ほぼ強制的に私たちを誘って遊びの計画を立てている。

 こちらも受験生のくせに、大丈夫なのだろうか。

「いいのよ、入れる大学を受けるんだから」

 実に逞しい。

「恵里ちゃん、クリスマスなんだけど……」

 懲りない谷村君が女子トイレ前で私を誘ってきたが、

「無理。予定あるから」

 と、聡美に追い返されたのだった。

 そんな12月。

 歩と家庭教師という形で再会して、一年が経った。