明け方、5時前。

「じゃ、みんなが起きる前に帰るわ」

 服を着てメガネを装着した歩が小声で告げる。

 私も着替えを済ませ、大あくびをしながら頷く。

 本来なら眠っている時間。

 やることやって、眠さは5割増しだ。

 私と歩は、彼が来たときのように、抜き足・差し足・忍び足で玄関まで移動。

 できるだけ音を立てないようにドアを開けて、二人で一緒に外に出た。

 夏の朝は早い。

 朝の5時だというのに日はしっかりと辺りを照らしていた。

「あー! やっとまともに声が出せる」

 息苦しさを解放するように伸びをすると、Tシャツの裾から出た腹を歩が指でつつく。

「ひゃっ! 何すんのよ」