「俺の部屋、来る?」

「合格するまでお預け」

「えー、3月まで? 長いなぁ」

 白い息を吐きながら歩は私たちの部屋の窓を見上げた。

 2~3メートルの隙間には澄んだ空気が流れている。

「しっかり頑張って……ちゃんと迎えに来てよね」

「うん」

 そして私たちは各々の部屋へと戻った。

 約束は3月の合格発表の日。

 窓に橋は敢えて架けない。

 それまでは私のこと忘れたっていいから。

 他の女に手を出したりしたら許さないけど。

 だからちゃんと合格して、次の春には一緒にK市に通おうね。



 私は再び窓から左下の影を確認して、ベッドに入った。



 翌日、私が出かけている間に歩からプレゼントが届いていた。

 新しい目覚まし時計だった。