家が隣で、部屋もちょうど向かい合っていて、私たちの距離はわずか2~3メートル。

 架けたはずの橋は崩壊し、私たちはぐっと離れてしまった。

 遠い。

 この2~3メートルがとてつもなく遠い。

 いつだって顔を合わせられる距離なのに、私に見えるのは彼の影だけ――。



 ウォーキングから戻った私は、ゆっくりと風呂で温まって部屋に戻った。

 長風呂をしたためか、時刻はもう11時を過ぎている。

 私の誕生日も、もうすぐ終わってしまう。

 髪を乾かしてからカーテンをめくると、左下に影があった。

 その影が少し動いたので、ぱっと手を離す。

 もう寝ようと思い、明かりを消してベッドに入った。

 充電器に挿していた携帯が、メール受信を知らせるイルミネーションを発している。

 開くと、谷村君からだった。

〈遅くなったけど、誕生日おめでとう〉

 なんだ、お前かよ。

 なんて思いながらも返信。

〈ありがとう〉