ベッドから起き上がると、目眩と立ちくらみがした。

 慣れるまでじっとして、視界が晴れてからカーテンをめくった。

 向かいの窓、左下に影。

 熱があっても、私は毎日ここから彼の存在を確認した。

 歩はいつも、何事もなかったように左下に影を作る。

 ずっと思っていた。

 歩が私を思う気持ちは、私が彼を思う気持ちよりずっとずっと小さいんだと。

 少しでも好いてもらえて幸せだった。

 あんな画像撮られてしまってごめんね。

 大好きでした。

 今でも大好き。

 もう言い訳なんてしないから、受験に専念しなよ。



 私はまた一通り泣いて、数日ぶりの風呂に入った。

 未だに残る歩の印が、妙にもの悲しい。

 それが早く消えるように、いつもより強めに体をこする。

 こんなことしても、消えないのはわかっていたけれど。