「俺って信用ないのかな」

 なんてポツリとこぼして、遠くの空を眺めている。

「ないよなー、そりゃ」

 自嘲の笑いが宙に舞い、私の肌をくすぐった。

 自己解決されては、コメントのしようがない。

 私は黙ったまま歩の手を握る。

「でも、別れるとか言われなくて良かった」

「え?」

 この問いは、自分自身に対してのもの。

 私は今まで、少しでも嫌なことがあるとサックリ別れてきた。

 倦怠期を乗り切ったことはない。

 なのに、歩に関しては「別れる」なんていう選択肢は生まれなかった。

 こんなにも嫌な思いをしたというのに。

 幼馴染で長い付き合いだから?

 普段から文句を言い合って慣れているから?

 それとも、もっと何か特別な気持ち……?

 答えはわからないまま、私は歩の肩に頭を乗せた。