橘さんは目を伏せて、

「ごめんなさい」

 と気持ちが入っていない謝罪をしてきた。

「それじゃ説明にならないだろ」

「だって……」

「だって?」

「負ける気がしない」

 わけのわからない説明に、私と歩の声が重なる。

「は?」

 彼女は強気な表情で私を探るように見てきた。

「桐原さん、どこ高ですか?」

「北高ですけど」

 クスッと鼻で笑われたのがわかった。

 どうせアホ高ですよ。

「確かにスタイルも良いし、化粧もかなり上手だと思うけど、私、この人が歩の彼女だなんて信じられない」

 何? この子。

 随分気が強くてものをはっきり言う子だな。

 失礼極まりないけれど。

 挑戦的な彼女の言葉は続く。

「歩がギャルと付き合うなんて、どうかしてるよ」