9月になって、私も毎日学校に通い始める。

 歩は今まで通り学校だが、帰りはまた7時ごろ。

 わた兄はまだ講義が始まらないので、もう少し滞在するらしい。

 難なく日常を取り戻した私は、卒業に向けて授業をより真面目に聞くことで二学期の充実を図った。

 だって、赤点取って卒業できなかったら、元も子もないし。

 歩の家庭教師はなくなったけど、6月までに叩き込まれた知識ともらった参考書の力で何とかやっていけてる。

 受験勉強の邪魔をしないためには、心配をかけてはいけない。

 自分の勉強くらい、自分で乗り越えないと。

 高校三年生にして初めて芽生えた感情だった。



 しかし、順調に始まった二学期も一週間が過ぎたころ。

 私の心を大きく揺さぶる事件が勃発した――。