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 二月の半ば頃から、俺と千奈美は婚前で同棲していた。


 もちろん新居となった品川のマンションで、である。


 俺は毎朝、午前七時半には書斎兼寝室で起き出して、洗面を済ませた。


 ベッドの上には千奈美がいて、俺が出社する時間帯は大概眠っている。


 だが、俺はあえて起こさない。


 それまでは一OLとして勤務していた彼女も、寿退社なので、家庭の奥さんに納まりたいのだ。


 それに俺は千奈美が朝の早い時間に起きてこなくても、自分でコーヒーを淹れて、軽くトーストなどを齧ると、カバンを持って出社する。


 何せ今井商事の代表取締役は俺なのだから……。


 俺が切り盛りしないと、会社は回らない。


 多少のことは部下に任せてもいいのだが、香原財閥や大磯グループから引っ張り込んできた若手や中堅はまだ未成熟である。


 俺に言わせればの話だが……。