ディオはビクトールとともに先頭の車に乗り込んだ。

後部座席のディオは、両脇を屈強な兵士にかためられている。
ディオは、助手席のビクトールに自分がやってきた道をつかえながら説明した。

あの銃声の応報の中、皆無事だろうか。

膝の上に置いた手を握り締める。

がたがたととびあがりながら、車は猛スピードで走る。

不意に衝撃が車を襲い、ついでとまった。

後に続いていた四台もハンドルを切ったり、

ブレーキをふんだり、

なんとかぶつからずに全ての車が停止することに成功する。


「どうした?」

「すみません。人間をはねたようです」


運転していた男があわてて車をおりていく。


「何でこんなところをうろうろしているんだよ」


毒づきながらビクトールが続いた。

数分も立たないうちに戻ってくる。


「胸を撃ち抜かれた男の死体だった。

ダナたちはこの近くに?」


前半は部下たちに、後半はディオにあてた言葉。