二人はリディアスベイルから指揮をとらねばならないから、

戦闘機で飛び回るわけにはいかないのだ。

その一機しかないフォースダイト搭載機のパイロットが、

はねるような足取りで、こちらに向かってきた。

背の中程まで届く赤い髪を、首の後ろで一つに束ねている。


「最終チェック終わりました!いつでも出られます!」

「それじゃ少し休んでおけ。お前たちの出番はまだ先だぞ」

「父さん」


彼女の後からやってきたヘクターが、ビクトールに呼びかけた。

ビクトールとほぼ同じくらいの背丈だが、体の方はやや細身だ。

仲間からは、二十年前のビクトールにうり二つだと言われれるが、

ビクトール本人は
「俺の方が男前だった」
と主張している。

息子の方は、というと
「父さんの言うとおり」
と、かわすのが毎度のことだ。