困ったように笑う馨君。

「もちろん、いいに決まってるよ。

ほら、こっちにおいで。

一緒に帰ろう?」

馨君が手を控えめに出す。

この紳士さにときめくわ。

もう全体的に違うわ。

「お、お願いしますっ。」

見惚れそうになった。

瞬時に手を掴む。

一番、真面に帰れると

思ったけど・・心臓との

相談が必要になりそうだ。

「ちぇッつまらねぇ」

「飛ばしてこうと思ったのにな。」

あの2人には絶対頼むものか!

土下座されたって断る。

「ヒヨリンー」

ナル君が可愛いく上目遣いだ。

もうこの子可愛いな。

「また明日ね。」

そう言ったらバイバイって

笑ったみんなにあたしも笑えた。

嫌よ嫌よも好きの内か。

楽しいことはあっという間だよね。

ナル君が中々離れず連れて帰ろうか

と悩むと馨君がナル君からあたしを

引きはがす。

「寒くない?」

帰り道はこのイケメンを隣に青春中

カップルのように帰路に立つ。

馨君には悪いがな。

「へーき。」

自転車を片手にゆっくり歩く

馨君は紳士の塊だ。

あたしが乗るはずの自転車を

さっとさりげなく持ってくれた。

「急に嫌じゃなかった?」

それを聞いてくる馨君は

さすがに酷いなと思った。