あら、嫌だわ。
「貸して」
血を見ていたあたしの手を掴むと、
「ひぃぃぃぃっー!!」
馨君の口に入れられた。
「傷口深くなくて良かった。」
いや、その笑顔で言われるとドキッとしますよ。
「これっ!!
みんな、メモよっ」
ドキッとする仕草をしまくり坊やなのよ。
「でも、消毒しておこうか。
何か、ごめんね。」
大人だと思いませんこと?
「いや、いいよ。
馨君が怪我しなかっただけ全然。
あたしの指一本で済んで何よりですよ。」
にんまり笑うと馨君が苦笑いで言う。
「駄目だよ、日和ちゃん女の子なんだから。」
馨君だけだよ。
あたしを女子だと思ってくれてるの。
「思ったんだけどよ、ヒヨリンを見習えば
いいんじゃねぇーの?男前発言連呼しまくり
だし、このモテる男道はヒヨリンが著者って
ぐらいに思えてきた。」
いや、本など書いたことない。
よっちゃん、あんたホント突拍子もない
ことを言い出して失礼じゃないの!
「あたし女だ!!
見たまえこの服を。
女装してるわけじゃないぞ。
最近はスキンケアにだって力を入れて
おるのだぞ!!」
サユと彩乃ちゃんとクルミちゃんと
この前ショッピング行ったんだっけ?
みんな彼氏居るから無駄に洒落込んでた。
サユは元々美人で素敵レディだけど、
あたしには女の子らしさが欠けてる。
もうすぐ6月に入るんだよね。
また明日は休みだけど、そろそろ大和
さんが来ちゃうな。

