悠斗はそれだけで、何故か安心した気分になった。

「まあ、ちょっとな。それより、匠っていつもこんなに早く来てるのか?」

「まあね。悠斗もたまには早く来てみろよ。早起きは三文の徳って言うだろ?」

悠斗は、思わずふきだしていた。

「あはは。匠って年寄りくさいよなー。ま、それが匠らしいけど」

「何盛り上がってんの?」

そこに祥子がやってくる。

悠斗の周りに日常が戻ってきた。

悠斗の頭の片隅にはまだ華音のことが残ってはいたが、今はとにかくこの日常に埋もれてしまいたいと、切に願った。

そして、そんな何の変わり映えもしない日々が数日続いたときだった……。