「龍ヶ崎さん」

悠斗はしっかりと龍ヶ崎の顔を見て問いかけた。

「華音は、本当に大丈夫なんですか?器を取り出されたオレが倒れるというのは、何となく想像できるんですが、華音が倒れてしまうのが腑に落ちないんです」

サングラスをかけた龍ヶ崎の顔からは、何も読み取ることが出来ない。

悠斗は辛抱強く、龍ヶ崎が口を開くのを待った。

しばらくすると、根負けしたのか龍ヶ崎が静かに話し出した。

「私が知る限りでは、こういったことは初めてです。ただ、姫様にとっては自分の力での器分離は初めてのことなので、何か不都合があったのかもしれません」

龍ヶ崎はそれだけ言うと、それ以降口を固く閉ざしてしまった。

悠斗は、仕方なく車に揺られながら華音が倒れた理由について考えをめぐらす。