その日の講義を全て終わらせ、悠斗達は葵と待ち合わせている学食へと急いだ。

入り口から中を覗くと、葵がいるのがすぐにわかる。

別に葵自身の姿が見えたわけではない。

ただそこには、男子学生たちの人垣が出来ているだけだった。


「ちょっと、どいて」

悠斗は、人垣を掻き分けて、その中心へと入っていった。

案の定、そこには葵が今にも泣きそうな顔で固まっている。

「大丈夫か?」

悠斗は、優しく話しかけるとそっと肩を抱いて、その人垣から葵を救出した。

悠斗が、葵を連れて行ったことで男子学生たちは気がそがれたのか方々へと散っていった。