「う…う、ん…」

「葵?」

「ゆう、くん?」

葵の顔には赤みが差し、その瞳はしっかりと開かれていた。

「葵、良かった……」

悠斗は強く葵を抱きしめた。

葵もそれに応えるように、悠斗の背中にそっと手を回す。

「悠君。どうして、ここに?私、どうなって――」

葵は次の言葉を繋ぐことができなかった。

その唇は悠斗の唇でふさがれている。

今までの優しいキスとは違う、力強いキス。

しばらく二人はすべてを忘れてお互いの体温を確かめ合った。



「葵、今は何も考えなくていいから。だから、もうしばらくお休み」

やっと葵から離れると、悠斗はそういって葵を再び寝かせた。

「うん。でも、悠君これだけは言わせて」

「なんだい?」

「ありがとう」

いつもの笑顔が葵に戻っていた。