タクシーの運転手に行き先を告げると、悠斗はシートに深く座り目を瞑った。

悠斗の頭の中には、葵に出会ってから今までの全てが思いだされていた。



「お客さん、着きましたよ」

運転手の言葉に悠斗は、ゆっくりと目を開ける。

料金を払ってタクシーを降りると、悠斗はマンションを見上げた。

ここ数日行っている同じ行為を繰り返す。

葵の部屋からは、やはり何の反応もない。

もしかしたら、まだ帰っていないと考え悠斗はマンションの出入り口が見えるところで葵が帰ってくるまでじっと待つことにした。