23.5cmの卒業証書 from ペアリングを外して


 校庭で、久しぶりにあいつを追いかけ回す。

 きっと最後。

 卒業の儀式。

「焼き増しして送ってやろうか?」

「いるかそんなもん!」

 追いつきそうになったとき、私は思いっきり跳び蹴りを繰り出す。

 ドン

 腰の少し上にクリーンヒット。

 バランスを崩したあいつは、横に転倒して転がった。

 思い出の詰まっているカメラは死守されたようだ。

「いってー!」

 学ランの背中に、私の足跡がくっきり刻まれる。

 あいつの中学生活に私という存在がいた証。



 23.5cmの卒業証書。



「じゃーね」

 あたしは背を向け歩きだした。

 あいつのいない、未来に向かって。




fin.





二人の十年後は
「ペアリングを外して」