23.5cmの卒業証書 from ペアリングを外して


 甘ったるいチョコレートの風味が広がった。

 甘いだけの、コクのない味。

「はは、あんまり美味しくないし……」

 その一口だけ食べて、残りはゴミ箱へと突っ込む。

 私の気持ちはガサガサと似顔絵の紙の中に飲み込まれていった。



 それからもあいつとは疎遠のまま、学年は三年に上がった。

 クラスも離れ、顔さえほとんど見ることがなくなってしまった。

 あいつのことは諦めた。

 なのに、どうしてだろう。

 廊下にいるときは、いつもあいつを探してしまう。

 後ろで声が聞こえると、振り向いてしまう。

 そして見つけると、嬉しくなってしまう。

 クラスが離れても気持ちはなかなか離れてくれないまま、私たちは卒業式を迎えた。