甘ったるいチョコレートの風味が広がった。
甘いだけの、コクのない味。
「はは、あんまり美味しくないし……」
その一口だけ食べて、残りはゴミ箱へと突っ込む。
私の気持ちはガサガサと似顔絵の紙の中に飲み込まれていった。
それからもあいつとは疎遠のまま、学年は三年に上がった。
クラスも離れ、顔さえほとんど見ることがなくなってしまった。
あいつのことは諦めた。
なのに、どうしてだろう。
廊下にいるときは、いつもあいつを探してしまう。
後ろで声が聞こえると、振り向いてしまう。
そして見つけると、嬉しくなってしまう。
クラスが離れても気持ちはなかなか離れてくれないまま、私たちは卒業式を迎えた。



