心拍数はピークに達していた。
素直に受け取らなくていい。
仕方がないからもらってやる、とか、そんな答えでもいいから。
受け取ってくれないかなぁ……。
「いらねーし」
その言葉で私の心は一気に凍り付いた。
見事に玉砕だ。
「俺、もらったもん」
ああ、そうなんだ。
受け取ったんだ、私以外の女子から。
その上で私のチョコは受け取らないってことね。
ふーん。そう。
「だ、誰よ? その悪趣味な女子は」
キャラを変えるわけにはいかなくなった私。
嫌味混じりの会話を続ける。
「湯本とー、中谷さんとー、あとマネージャーからももらえるし。残念ながら義理だけど」
あたしの本命チョコはいらないって言ったくせに。



