あいつは「ヘッ」と鼻で笑い、言い返してくる。
「そんなんだからモテないんだぞ」
かつての調子を取り戻せない私も、条件反射で反論。
「別にモテたくないし。あんただってモテないでしょうが」
「俺だって別にモテたくねーよ」
「嘘ばっか。みんなでチョコの話してたじゃない」
あ、今チャンスかもしれない。
あげるって、今なら言えそう。
バッグを意識しながら、私は続けた。
「どうせ1つももらえなかったんでしょ? かわいそうだから1つ恵んであげてもいいけど?」
バカか、私は。
こんな素直じゃない言い方をしてしまうなんて。
でもいいんだ。
私はそういうキャラだから。
これが私なんだから。



