「本が見にくいです」

「えぇー。少し気を遣ってるもん」

アタシは悪びれもせず
その体制のまま
彼の顔を見つめる。

「やめてください」

「うぅーん、クール…やめない可愛いっ」

そう言って
私は体制を上手く変えて
アタシは彼の背中に抱き付く。

「!?」

彼は微かに身を震わせたが、
振り払ったりはしなかった。

「あったかい」

日差しであったかい背中。
優しい温もり。

私は目を細めた。

彼は少し悩んだ様子を見せてから
長く息を吐いた。
それはまるで、
まぁ良いや。
そう言われた気がして
思わず笑みがこぼれた。