スカーレット


「あの、確認したいことがあるんですけど」

 息を切らしながらそう言うと、

「何でしょう?」

 おばさんは眉を寄せて首をかしげる。

 来院している妊婦や他の女性たちの視線を浴びているのに気付き、私は極力声のボリュームを絞った。

「中絶のことについて、です」

 その時、

「お大事にどうぞー」

 と、妊婦さんと共に三宅医師が診察室から出てきた。

 彼女も私に気付いてふと微笑む。

「十和田さん。どうされました?」

「あの、おうかがいしたいことがあるんですけど」

 私が焦っていることに気付いたのか、三宅医師は神妙な顔でおばさんに何かを告げた。

「暫くしたら参りますから、別室でお待ちください」

 会釈をして、診察室へ戻っていった。