スカーレット




 そして、解決したはずの事件がまた一つ謎に包まれた。

 私は性懲りもなくその答えを求めて家を飛び出す。

 記帳をするはずだった勝彦の通帳はバッグに入れずに。



 広い道まで出ると、タクシーは割かし早く捕まえることができた。

「三宅産婦人科まで」

 運転手に行き先を告げると、無愛想に「はい」と返ってくる。

 ガス車の独特なにおいに顔をしかめ、速く速くと気持ちだけが焦った。

 国道は少し混み合っており、タクシーのメーターが無機質に料金を上げていく。

 料金なんてどうでもいい。

 早く目的地に連れて行ってくれるなら、あと千円でも二千円でも多く払うから……。

 思いは虚しく渋滞に飲み込まれ、気持ちだけが先走った。

 携帯で時間を見ると午前の受付が終わってしまう時間も近い。

 病院が目に入ったところで私は運転手に声をかけた。