タクシーで来た道をとぼとぼ歩く。
歩いている間に意識ははっきりとしてきた。
身に覚えがなくても、ショックは予想以上。
今日わかったことを、自分なりにまとめてみる。
私は精神的に病んでいた。
最後に病院に行ったのは7月。
そして、8月の上旬に堕胎。
新たな謎が生まれる。
心を病んだ理由は何なのか。
子供の父親は誰なのか。
自分なりに推理してみるが、ちっとも自分のことのようには感じない。
真剣に考えると、なんだか笑えてきた。
「ほんと、少し探っただけでろくでもない人生……」
無理に思い出さなくてもいいという周りの人間の言葉が、優しさだったことがうかがえる。
しかし生まれてしまった謎は解決しないと気がすまない。
旧・紀子も同じ性格だったのだろうか。



