結局、皐の機嫌は放課後になってようやく収まって。
運悪く帰りが一緒になった松永からは日課になりつつあるプリンをもらって。
大学を出たのは16時過ぎだった。
徒歩10分足らずの場所にある樹のアパートに向かいながら、鞄から部屋の鍵を取り出す。
樹にもらった合鍵には、金色の林檎をかぶった林檎うさぎのキーホルダーが揺れる。
『新しい恋が訪れる』っておまじないのかかったキーホルダー。
決して信じて買ったわけでもないけど。
でも、このおかげかは微妙だけど、樹とはこれをきっかけに付き合う事になったんだし。
金色の部分の塗装が少しはげかけてるキーホルダーを、手の中でぎゅっと握り締めた。
部屋の鍵を開けて中に入ると、テーブルの上のメモに気付く。
『冷蔵庫に瑞希の好きなチーズケーキがあるから』
冷蔵庫を開けると、確かにあたしが最近はまってるコンビニスイーツのベイクドチーズケーキが入っていた。
鞄の中に入れてあったプリンと入れ替えに、チーズケーキを取り出す。



