ジュリエットに愛の花束を。



「あの女……結構嫌な感じじゃない? 

なに? 椎名先輩狙い? それとも瑞希いじめ?」

「あ、やっぱり嫌な感じだったんだ。あたしだけがそう感じたのかと思った」

「だって、家事の事とかあの女には関係なくない? 

瑞希と椎名先輩が納得してるならそれでいい事じゃん。

それを、家事は女がやるべきだって……なに、その古臭い考え方!

しかも瑞希の事男っぽいとかっ! 

……まぁ、確かに性格は一見さばさばして見えるからそう思われても仕方ないけどさー。

実は学食プリンの噂なんか信じる、超乙女チック女子なのにっ!!」

「……それ、引きずらないでくれる? かなり恥ずかしいんだけど」

「だってなんかムカつく!! ああいう、言葉の攻撃!! 

瑞希みたいに正面きっての減らず口なら気持ちいいもんだけど、ああいう陰湿的なのはムカつく!!

大体、モテ女って言葉が見えそうな態度がムカつく!!」

「皐とアリサさんって、似てるようで似てないからね」

「『アリサ』とか気取った名前もムカつく!! あたしなんか超古風なのにっ!!」

「……」


どこでスイッチが入ったのか、何でもムカついてしまう状態になった皐をなだめる。


あたしも少し頭にきてたけど……。

でも、隣でここまで露骨に怒る皐に、小さなイライラは飛んでいった。