ジュリエットに愛の花束を。



予防線二本目のために、意識してキツく言う。

あたしの態度にか、松永は少し言い出しにくそうに間を空けてから、やっと話し出す。


『プリンさー……、もう食った?』

「えっ、まさか返して欲しいとかやめてよ? さっき樹が食べちゃったんだけど……」

『あ、……マジ? ……なら、いいんだ。

その……賞味期限がさ、短かったからちょっと気になって……』

「……そうなんだ。わざわざありがと」

『いや! 全然! じゃあな、また明日』


終始明るく話し切った松永に、少し疲れながら電話を切る。

そして……ケータイを見つめて、松永の電話を検証してみる。


賞味期限が短かったからってわざわざ電話?

しかも、番号を皐に聞いて? 

……っていうか、皐も勝手に教えないで欲しいけど。

大体、食べる前に賞味期限って普通見るよね……?

それに、今日もらったばかりだし。


……あたしを相当なうっかり屋だと見込んで?

冷蔵庫にうっかり長期間放置しちゃった挙句、一ヶ月後とかに「あ、プリン見っけ」とか喜んで、賞味期限を見ないで食べるような奴だと思ってわざわざ?